指の痛みの症例

指関節捻挫

指の損傷をみる上で大切なことは、まず骨折の有無を観ることです。右の超音波像は指のPIPを側面から観察したもので上下とも右が健側、左が患側を描出したものです。

骨は線状高エコーで、描出するためその連続性があることを確認します。

確認後、軟部組織の損傷が大きい時には、血腫を伴う腫脹がみられ側副靭帯及び掌側板の損傷状態も観察します。

それらの損傷状態を評価し固定の必要性を決めます。

 

 


マレットフィンガー



末節骨(指の先端部の骨)の骨折性マレットフィンガーです。

適した固定を施さないと健の牽引力により骨片が浮いたままになってしまうので、慎重に固定を行います

 

超音波画像において、裂離した骨片は背側に転位している状態を観察しますが、骨片の表層によりエコーは反射され、深層部を観察することが出来ず大きさや形状を判断することが出来ないため、医科に対診を行っています

整復する際は、骨片の大きさによる関節の不安定性を考え闇雲にDIPを過伸展しないよう考慮して行い、今回は骨片が一番安定する伸展位で固定します


1週後→8週後→14週後のエコー画像です

指先の骨折は骨癒合期間が長く、6~8週は装具で指が動かないように固定を行います

当事例は骨片もいい位置に戻ってくれており、骨片がずれないよう慎重にリハビリテーションを行いながら機能回復をさせていきます


基節骨基底部骨折


基節骨基底部の骨折です(左→CT画像・右→エコー画像)

患者様は突き指損傷だと思って来院されましたが、エコーで確認すると骨損傷を認めました。

指の骨折は関節内血腫が引きにくく、拘縮が生じやすいため、固定を行いながら同時並行で理学療法(オステオトロン・超音波浴)や運動療法(リハビリ)を行い、治療を進めます。

 

 


上の超音波画像は、指を短軸にて観察したものです。1番左の画像が受傷直後、真ん中が受傷12日後、右側が受傷26日目です

黄色い〇印が骨折部分で、骨折部分の下にはコメットサインと呼ばれる白いモヤモヤ(超音波の減衰)がみられます

骨癒合により、内軟骨性骨化(新しい骨)が出現することで、日が経つにつれてコメットサインの消失を観察することができます

(コメットサイン消失≒骨化が進んでいる)

 

超音波は非侵襲の為、損傷部の回復具合をリアルタイムで観察することが可能です

年齢や人種等の個人差で骨癒合の期間もばらつきがあります。当院では逐一超音波で損傷部を確認しながら固定やリハビリ等を臨機応変に変化させ、日常生活の早期復帰を目指しています

 


小児骨端線離開